文学部横断型人文学プログラム

活躍する卒業生
-品格のある人間をつくる 真のキャリアサポート-

生身の人間に触れ、文章を書く仕事がしたい

水内 茂幸 氏
[1999年国文学科卒業]
産経新聞社政治部外務省キャップ

スクープの裏に地道な信頼作り

 「生身の人間に触れ、文章を書く仕事がしたい」と新聞記者を志願。現在政治部記者として8年目を迎え、今夏より外交取材に没頭しています。実は政党取材が長く、これまでに自民党を5年、民主党を1年強担当しました。自民党では石破茂幹事長や谷垣禎一法相(総裁当時)などの番記者、民主党では上智OBの玄葉光一郎前外相にもお世話になりました。「新聞記者」というと記者会見で厳しい質問を浴びせるようなイメージがあると思いますが、社会正義に真に迫るためには、格好いい台詞を吐くだけでなく、地道な信頼関係作りが大切です。僕の手法は居酒屋に取材相手を呼び出し、思いのたけを存分に話してもらうこと。政策を作るのも人間で、背景には「政敵を追い落とすため」などという、どろどろした人間関係が隠れているケースが多いのです。会見で厳しくやりあった相手と酒席で本音をぶつけ合い、驚くようなスクープをもらったことも。この手法は安倍晋三首相ら与野党23人を居酒屋でインタビューした「居酒屋コンフィデンシャル」(新潮文庫)に結実しました。

少人数教育の魅力・・個性を重んじ「不良学生」を伸ばす


安倍首相に同行取材した
ニューヨーク証券取引所にて

 僕は「編入学」という制度を利用し、他大学の単位を活用する形で2年次から入学しました。前の大学では日本語教師を目指す課程にいたのですが、もともと近代日本文学に興味があり、専門的に学び直せる大学を探したのです。入学後は当然近代だけでなく、国語学や漢文、中世などをみっちり学ぶ日々が続きました。一学年が数十人と少なく、ゼミも少人数が徹底していて、先生方との距離の近さが印象的でした。流行りの学説に流されるのでなく、基礎を丁寧に学んだ記憶があります。学科内の友人関係も濃くなり、妻は当時の同級生です(妻の成績は僕より遙かに優秀で、披露宴では複数の先生から「なぜ!」と手荒いスピーチも受けました)。「将来は学者になりたい」と大見得を切って入ったのですが、他大学生を巻き込んだ演劇活動に没頭してしまうなど、決して「優等生」ではなかったような・・。時に厳しく時に温かく、僕の個性を大切にしてくれたからこそ、日々文章と向き合う今の自分があると思います。

高校生へのメッセージ

 入学前はどことなく厳格なイメージがあったのですが、学生の多様な個性に実によく付き合う大学です。「とりあえず入ろう」という方にはつまらない学生生活になるでしょうが、「これをやりたい」という魂のカケラが1つでもあれば、それに応えてくれるスタッフも人脈も豊富に揃っています。取材先としてOBに出会うことも多く、現職と関係ない学科だったということもしばしば。先日は上智で理系出身だった外務官僚に出会いました。「上智を利用し倒してやろう」という野心を抱いて、ぜひ門を叩いてほしいですね。

もっと詳しく知りたい方へ

  • 『居酒屋コンフィデンシャル』
    新潮文庫、2013年

※本ページの情報は作成時(2013年度)の情報にもとづいています。