文学部横断型人文学プログラム

横断型人文学プログラム

基盤教育センター身体知領域(旧文学部保健体育研究室)

「からだ」から自分を、そして世界を捉え直す

基盤教育センター身体知領域
(旧文学部保健体育研究室) 
吉田美和子 教授

テクストのない身体から、新たなテクストを生み出す試み

 文学部にあって唯一、テクストを持たない「身体」をテーマとする「身体・スポーツ文化論」コースは、身体や身体表現としてのスポーツを文化的・社会的コンテクストからとらえ直し、新たな意味を探求するコースです。その射程は、心身論からスポーツや武道、ダンスなどのパフォーミング・アーツに至るまで、身体を取り巻く諸現象を広くとらえていきます。身体を語る出発点として哲学的な心身論の流れを学び、エスニック・スポーツや武道を含む東西の身体技法、あるいはサッカーなどに代表される近代スポーツやダンスを人文社会学や自然科学の視点から多角的に読み解くことによって、身体というテクストを持たない濃密な空間から、新たなテクストを創出していきます。

学びの中心に立つ自分の身体=存在(presence)に気づく

 従来の身心二元論的な物としての「身体Body」ではなく、身体・心・スピリチュアリティを含む「からだSoma」の視点に立つとき、文学や哲学、歴史、メディアのなかに立ち現れる多様な感覚世界としての身体や、記憶や経験を含む身体イメージ、そしてまなざしの中心に立つ自分自身の「身体(存在)」と出会うことでしょう。基盤教育センター身体知領域(旧文学部保健体育研究室)では、スポーツ心理学や人類学、健康心理学やコーチング、パラスポーツも含めた身体を基盤とする多様なプログラムを「身体のリベラル・アーツ」として位置づけ、ソフィア(上智)の基盤として、単なる情報ではない「身体知(Embodied Wisdom)」の習得を目指しています。

高校生へのメッセージ

 大学での学びは単なる情報の蓄積ではありません。多様な視点や新たな知識を学ぶと同時に、日々の経験や自分を取り巻く他者や環境のなかにも知を見出し、自身の身体知(Embodied Wisdom)としていくプロセスでもあります。自分のなかにすでにあるものを想起し、新たな経験に対して自分を開きながら、「いま、ここ」の身体の気づき(Awareness)を重ねていく、皆さんの長い知の旅が始まろうとしています。